賃借物件が突然の競売。物件調査のあと注意すべき点は?

前回は、突然、借りている部屋が競売になったときの対処法を書いてみました。
執行官が物件調査に来たあとはどうしていけば良いのでしょう。物件調査のあとの対策と心構えについて見ていきましょう。身の回りが大きく動き出しますので注意して下さい。

物件調査が済んだけど、なんにもない。


執行官がいきなり来てドキドキしたけど、その後ぱたっと音沙汰がなくなります。日常が取り戻されたかのように何にもないと思います。でも実は、その間にも、執行官が頑張って調書を書いています。そして嘱託を受けた不動産鑑定士が不動産価格の計算をしています。
執行官が来てから、おおよそ4ヶ月から6ヶ月くらいは静かだと思います。なーんにもありません。そして、そのあと待っているのは・・・売却実施処分!競売情報の公開です。

競売情報が公開された!私はどうすれば良いの?


競売情報が公開されると、あなたが住んでいるところが便利なところや名の通った住宅地であればあるほど、身辺が賑やかになります。競売情報が公開されたことはすぐに気がつくでしょう。競売情報は、裁判所に行けば誰でも閲覧することが出来るうえ、専門情報誌まで発行されているので、主として不動産屋さんが目を皿のようにして眺めています。
そして少しでも良い物件があると「物件調査!」です。競売はオークションですから、1円でも高い金額を札入れした方が落札します。「どれくらいまでお金を出せるか」、「どこまで出せば落札できて、しかも利益が出るか」それはもう、執行官よりも必死です。
ですので、時に行き過ぎてしまう業者さんが出てきます。対象のお部屋に「ピンポーン!すみませーん!少しお話お聞かせ頂けませんか!」『競売の相談載ります。』等というお手紙が来たり、時に、お金を借りませんか、とか、任意売却がどうだ、とか、物件情報をいい加減に読んで、あなたが所有者(兼債務者)であるかのように扱ってくる方もいます。

基本路線は「相手にしない」


このように任意で物件を調査している方の中に、部屋を借りているあなたを、親身に救ってくれる方は誰もいません。隙あらば情報を引き出して、自分が有利に入札したいという方がほとんどです。そして誤ったアドバイスをしても、その方たちに何の責任もありません。時に意図的にあなたに「勘違い」をさせようとする悪質な業者もあります。信じたあなたが悪い、と貶まれるのが関の山です。
では、どうすれば良いの?その答えは、基本路線は何もしなくても良いです。執行官以外の調査に付き合ってあげる必要はありません。放っておけば良いのです。
とはいえ、最近は一般の方でも参加しやすくなった競売手続。あなたの借りているお部屋が駅近で便利な場所の築浅物件で、尚且つ「区分所有建物」と呼ばれる1部屋ごとに売買できる物件だったら、つまり、あなたが良い物件を見つけていれば、いるほど、それはもう、たくさんの業者さんが『調査』目的でウロウロしていることでしょう。お子さんがいるご家庭なんかだと気が休まらないかも知れません。そういうときは、あれこれ待たずに引越しを検討するのも一つの方法です。警察に連絡しても、裁判所に連絡しても、静まるのは一時だけで、またすぐに調査目的の業者さんが集まり出します。
ただ、競売情報は短期決戦、すぐに終わります。情報開示から約3週間で入札開始、入札期間は1週間。入札が終わってしまえば、すぐに開札です。つまり、競売情報が出てから1ヶ月もすれば、『調査』騒ぎは終わってしまいます。それでも待ちきれずに引っ越しを検討するか、1ヶ月間の嵐が過ぎ去るのを待つか、それは巻き込まれてしまったあなたが判断してください。

入札期間が過ぎ去った。そのあとは?


嵐のような入札期間が終わると、やがて開札、新所有者が決まります。新しい所有者、つまり新しい大家さんになる方が決まります。賃貸物件を入札する方は、引き続き賃貸に出したい方が多いと思います。だって、人が住んでいることを知っているのに、購入したいという人です。もし購入した人が自分で使おうと思ったら、入札した代金+立ち退きにかかる費用+リフォーム代が必要です。今のお部屋の現状も写真しか見ていない状態で、立ち退きにいつまで、費用もいくら掛かるかも分からないのに、多額のお金を投じて購入するでしょうか?
前の大家さんと同じように、貸して家賃を得ようとしている人が多いと思いませんか?
所有者でない方が住んでいる物件を競売で購入するには、結構なリスクがあるんです。
入札した人も、案外おっかなびっくりかも知れません。

今回は、賃借物件が突然競売になったとき、物件調査のあとを書いてみました。

このあと、もう少し注意すべき点があるのですが、文字数制限の関係で、続きは次回に詳しく書きますね!
すぐに知りたい!という方は専門家(弁護士)に相談してみましょう。きっと力になってくれますよ。