敷金の返還請求!秘訣は退去時の○○にあり!!

前回、多少引かれることはあっても敷金は還ってくるんだ!という話をしました。
今回は、具体的にどういう時に、どれくらいの金額が引かれるのか、考えていきたいと思います。

戦いは、退去前から始まっている!


引越が決まり、新しい引越先での新生活が始まろうとしているとき、今まで住んでいた部屋の退去確認があると思います。引越の当日にやってしまう方もいるかも知れませんが、荷物があると退去確認はできないので、引越をした月の月末なんかが割と多いのではないかと思います。不動産屋さんと待ち合わせて、中をぐるっと見てもらって「はいっおわり!」としていませんか?
実は、退去確認のときには既に敷金返還の戦いは始まっているのです!

引越をして1ヶ月。ようやく敷金の精算書が来たけど・・・。

新居に引越して約1ヶ月。ようやく新しい生活に慣れた頃、ペラリと一枚の書類が送られてきました。それは、前に住んでいた部屋の不動産屋さんから敷金の精算書でした。なにやら色々なものが引かれ、差引は0円。ヤレヤレ、追加で払うものもないし、まあ良いか。っと、ちょっと待って!本当に差し引きゼロで良いのですか!?
よく見てみると「ハウスクリーニング代」「壁紙張替費用」「畳表替え費用」「水道蛇口補修費用」「襖破れ補修費用」など色々引かれています。蛇口補修費用って、あれは入居当時から壊れていて、直してくれってお願いしてたのに結局直さず仕舞いだったところじゃん!だいたい襖の破れなんてなかったよ!

では、どうすれば良かったの?


そう。こういうときに退去確認時の写真が役に立つのです。退去確認の時に不動産屋さんが写真を撮っていることもありますが、自分でも写真を撮っておきましょう。できれば入居時から撮っておくのがベストです。

「ここが壊れていますね」「ここが破れています」など、不動産屋さんと一緒に確認し、写真を撮っておきます。はじめから壊れていたところなどは、不動産屋さんに言われる前に「ここははじめから壊れていました」と申告し、不動産屋さんに確認して貰います。大手の賃貸ショップなどは退去確認書類が複写になっており、自社用、大家さん用と借主(あなた)用の3枚をその場で作成してくれますので、その確認書に、はじめから壊れていたところなどは記載して貰います。

載せすぎの費用を引いて貰えたらOK?


載せすぎの費用を引いて貰えるのは当たり前。だって、こちらが負担する費用ではないのですから。では、ハウスクリーニング代や壁紙の張替、畳の表替えの費用は引かれても仕方がないのでしょうか。
消費者保護の法整備が進んだ昨今、過度なクリーニング代名目での請求はできないようになっています。また、金額についても相応な具体的な金額が、賃貸契約書の特約に記載されていなければクリーニング代を請求することができないとされています。
壁紙は減価償却の考え方が適用されており、新品の壁紙で入居したとしても概ね6年で償却されるので、6年以上入居していた場合は原則として壁紙の張替費用を負担する必要はありません。畳表についても同様に経年劣化に相当する部分は大家さんの負担となり、借主の過失により畳表を傷つけた、等の事情がない限り、表替えの費用を負担することもありません。これは特約によって借主が負担する、とされていた場合でも負担する必要はありませんので注意が必要です。
カギ交換費用は、、、難しいところですね。入居時の契約書などを確認して下さい。

結局、どれくらい還ってくる?


今回のケースでは、入居期間5年の方でしたので、壁紙の張替費用については全体の15%程度のご負担、あとの費用は全て取り下げて貰えましたので15万円の敷金のうち13万円ほどが戻ってきました。壁紙は全部貼り替えると天井など普段目につかない部分の張替もありますので意外と高額になります。場合によっては、敷金では足らず追い金を請求される方もいらっしゃいますので、退去確認はしっかりと行いましょう。
但し、何でも費用負担を拒否できるものでもありませんし、6年以上入居しているからといって、乱暴な住まい方をすると、壁紙の下地(壁そのもの)まで傷つけていることがあります。そういった場合の補修費は当然、借主が負担することになります。

以上、今回は、退去時の敷金返還の具体的事例を見てみました。

敷金返還の連絡がないなど返還請求以前の問題に悩んだら、ぜひ専門家(弁護士)に相談してみてください。きっとあなたの味方になってくれますよ。

※「今回のケース」はフィクションです。